05.神戸電鉄の苦闘

  神戸から50パーミル(1000分の50)の勾配に挑む型破りな鉄道、神戸電鉄。ベッドタウン路線としての成長を遂げたものの、阪神大震災のころを境に暗転、苦戦を強いられつづけています。
  今回のFlashは、文字の出し方など、やや動きの多い作品を目指しましたが、いざ作ってみるとなかなか、タイミングの取り方が難しいものです。

  音楽素材: Living Music様 X-PROJECT様より使用させていただきました。


「静かな空 青い空 神戸電鉄」
  神戸電鉄CMのキャッチフレーズです。確かに静かなところばかり走っています。

「六甲に挑む登山電車 4割が急勾配区間」
  乗っていただけるとわかりますが、平坦な区間はほとんどありません。神戸電鉄の最高速度は80km/hですが、そこまで出せる区間も限られています。

「観光鉄道からベッドタウン路線へ」
  もともと有馬温泉や広野ゴルフ場などへのアクセス用として作られた路線。それが沿線の宅地化に伴って急変貌を遂げました。

「谷上駅ビル 繁栄の象徴 準大手への地歩」
  80年代の、北神急行との接続駅となった谷上駅周辺の大改造。高架駅をまたぐかたちで谷間にそびえる駅ビルは、こうした右肩上がりの成長を象徴付けるものでした。

「1995.1.17 阪神大震災」
  阪神間の産業、経済すべてを暗転させた大災害。とりわけ神鉄は、後述の要素と相まってこの後苦戦を強いられることになります。

「山岳鉄道のハンデ 遅すぎるスピード 高すぎる運賃」
  とにかく電気代を使う登山電車。当然これ以上のスピードアップもできず、しだいに利用者に背を向けられることに。

「ライバル進出」
  これといったライバルとの競合のなかった神鉄でしたが、神姫バスがそこに目をつけ、三ノ宮〜三田、三木・小野、恵比須への直行便に力を入れて、好評を博す。震災後、粟生線沿線住民の多くが神戸市営地下鉄に流れたとも聞きます。

「居座る扇風機車」
  FLASHに出ている車両は冷房化されましたが、05年8月現在、神鉄にはいまだ6両の非冷房車両が残っています。増結用車両なので扇風機車両オンリーで編成が組まれることはありませんが、ラッシュ時には夏場であろうと姿を見せます。

「時代はクルマ社会」
  北神戸・西神戸の道路網の整備も手伝って、利用者はより便利な自動車へ。特に粟生線沿線では自家用車への依存度が高まっています。ちなみに、FLASHに出てくるセルフ式ガソリンスタンド、当時レギュラーガソリンが91円/L(税別)と表示されていますが、今や120円/Lを超えており、石油高騰が地域の足にも打撃となっています。

「空洞化する駅前」
  クルマ社会の進展に伴い、駅前は全般に寂れる傾向。その代表例がFLASHに出てくる小野駅。90年代前半に大きな橋上駅舎に建て替えられたものの、テナントは少なくスカスカの状態。

「利用者は10年間で25%減少」
  新聞に掲載された数字ですが、この数字には正直驚きました。特に粟生線での減少が大きいようです。

「進まぬ複線化」
  震災前まで進められていた粟生線の複線化工事は、震災で休止されたまま立ち消え状態。三田線の工事も進捗は芳しくないようです。

「進む合理化 自動改札導入 駅員のいない駅」
  自動改札は「スルっとKANSAI」加盟に伴って設置。05年3月の菊水山駅休止で全駅自動化となりました。現在駅員が常駐する駅はごくわずかになっています。

「そして車掌も消えた」
  公園都市線では当初からワンマン運転が実施されていましたが、有馬線末端、粟生線へと拡大され、05年6月からついに全線ワンマン化。

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