#048

  鉄道に関連した建造物の中で、その威厳において他に比べられるものがあるだろうか。完成は明治45年。明治最後の偉業ともいえるだろう。その高さ40m超。集落の中に突き立つ赤茶色の鉄橋は、文字通り山陰本線の足場を支えてきた存在だ。

  しかし今では、通る列車は少なくなった。北には日本海、冬場には風当たりが厳しい。そんな中、かの痛ましい列車転落事故が起きた。規制により列車が止まる事が増え、鳥取へのバイパス線である智頭急行が開業したこともあって、幹線としての役目は果たしづらくなった。しかし、1,2両の普通列車が行き交うばかりでは、この鉄橋にはいかにも不釣り合いだ。

  やはり、この鉄橋は特急が走ってこそだ。橋桁にさしかかるのは、特急「はまかぜ」。これもまた年期を経た車両だが、ゴールデンウイークとあって、堂々たる7両編成。刻む足音が、連続音となって一帯に響く。

 

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