#050

  神戸三宮。私にとっては最もなじみの深い都市である。南方へまっすぐ伸びるのはフラワーロード。今回は列車で素通りする立場で眺める。すると、ごく見慣れた風景であるにもかかわらず、旅のひとこまとして目に入ってくるから不思議である。

  1995年の阪神大震災から、この時点でまもなく10年を数えようとしていた。あれほどひどく破壊された街だが、もはや視界の中に、その痕跡を認めることはできない。逆に違和感を覚えるとすれば、古いものが古びた姿で混じっていないということだ。

 

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