#051

  2004年は日本中が相次ぐ災害に悩まされた1年だった。10個もの台風上陸の後、とどめとなったのが10月23日の新潟県中越地震。上越新幹線「とき」が走行中に脱線するという、新幹線史上初の事故となったが、転覆には至らず、奇跡的に死傷者は出さなかった。メディアは「安全神話の崩壊だ」などと騒いでいたが、私には、いかにも日本人らしい悪い意味での潔癖さだなと思えた。

  そんな一年も終わろうかという12月28日、ようやく上越新幹線が復旧した。私が新潟を訪れたのはその翌日。その姿を確認すべく、わざわざ新幹線ホームに立ち寄った。入ってきたのが、東京行きの「MAXとき」。阪神大震災のとき、間近で交通がずたずたに寸断されるのを経験しただけに、こうして当たり前のように列車が走るということが如何に有り難いかを改めて実感する。

  被災したのは200系、左側の列車と同タイプの車両だった。乗客の身代わりになる格好で深手を負い、復帰することなく廃車されてしまった。

 

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