JR東日本が非電化路線に導入した汎用タイプ軽快気動車
幹線からローカル線まで幅広くこなす
登場:1990年
在籍:

  記載内容は2015年9月現在。
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 電車並の気動車

  国鉄時代の一般形気動車は総じて動きが鈍重で、車内設備的にも旧来のものから脱却できませんでした。全国各地で今も広く運用されるキハ40系はその典型です。国鉄末期になってようやく改良が見られたものの、当時の財政難からその動きは限定的で、また機構的にはまだまだ古い仕組みを引き継いだものでした。

  国鉄が民営化されると、JR各社にとって地方路線の体質改善は早急に取り組むべき課題となりました。国鉄から引き継いだローカル線の従来車は老朽化・陳腐化が進み、またワンマン化等の合理化を図るには不向きでした。このため、1990年頃から各社一斉に新型気動車の投入を開始しました。

  これらの車両に共通していえるのは、当初から用途を特化し、無駄を省いた合理的な構造となっていること、また新式の動力機構を採用して、軽快な走行を可能としたことです。

  JR東日本が導入したキハ100系列は、そのお手本のような車両です。車体の長さが16m・両運転台のキハ100と、長さ20m級のキハ110系に分類され、キハ110系には両運転台のキハ110形と片運転台で2両セットの111+112形があります。

  どちらも白いボディに緑のアクセントを配したデザインが標準で、現在東北や信州の非電化路線を中心に広く活躍しています。一部独自塗装もあるものの、ほとんどの線区で同じデザインを採用しており、地区別に色を区別している西日本のキハ120とは対照的です。

2両編成で走る小海線のキハ110系 

  驚かされたのはその走行性能。出発するや、するすると加速し、多少の坂もものともしない。しかもエンジン音は気にならず、安定した走りを披露します。のっそり駆け出しドタバタ進む従来のディーゼルのイメージを覆す、電車と比べても遜色ない(むしろ旧式電車より優れている)走りに、初めて乗ったときには感動さえ覚えました。

 東のマルチプレイヤー

  キハ100系列には、合理化を図りつつ居住性をも確保しようという配慮が見られます。また用途が多彩で、ローカル向けのワンマン仕様だけでなく、リクライニングシートの優等列車タイプ(現在では快速に使用)もあります。

  また、秋田新幹線工事中の代替特急「秋田リレー号」として使用されたこともあります。JR東日本管内に気動車特急がない(従って特急用気動車も存在しない)ための暫定措置でしたが、1年間ほどキハ110系が特急として活躍していたのです。このグループはその後一般タイプに改造されました。

  車両の短いキハ100形は三陸方面のローカル路線を中心に配置されています。また左沢線にはロングシートのキハ101形が在籍します。

大船渡線のキハ100。車体が若干短い 

  キハ110系は東北・信越地方の非電化路線で広く運用されています。また羽越本線のデッドセクション区間では普通列車がすべて気動車で運転されており、キハ110系が全区間架線の下を走る運用もあります。磐越西線の快速「あがの」など、かつての急行の流れをくむ快速列車にも充てられており、マルチプレイヤーぶりを発揮しています。

磐越西線の快速「あがの」に 

デザインの若干異なる陸羽東線の列車 

  特徴的なのは座席の配置で、基本はセミクロスシートですが、4席ボックスと2席ボックスを配し、通路が広めにとられています。(通路が広いのは定員の確保に加え、ワンマン運転を考慮して見通しのよさと乗降の円滑化を図ったためでしょう。)2席ボックスの方は1席同士のお見合いとなり、他人同士での相席は気まずいものの、混み合っていなければ独占できる座席です。この座席配置は、ワンマン改造されたキハ48にも採用されています。陸羽西線などでは、一人がけ席を窓側に回転できるものもあります。

キハ110系の車内 

  車体のデザインには−JR世代の軽快気動車全般にいえることですが−平板でそっけない印象を受けるものの、性能・居住性・機能性・そして合理性のバランスがとれた車両だと感じます。

 

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