#007

  四国の旅を終え、高松からフェリーに乗って辿り着いた宇野港。この日は夜行列車での寝不足から始まって、頭痛に悩まされる行路だった。だが船で浴びた潮風は、そんな憂さを忘れさせてくれた。

  かつては国鉄の連絡船が高松へ結び、文字通り四国への玄関口だった宇野。瀬戸大橋の開通により、鉄道連絡船としての宇高航路は終わりを告げた。だがその後も、国道の連絡フェリーとして船の運航は続いている。

  本州に帰ってくるとともに、空の明るみは薄れつつある。苛立ちの多い旅だったが、これで終わりと思うとやはり虚無感が押し寄せる。

 

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