#014

  ゆるやかな水の流れと、それに沿って立ち並ぶ堂々たる煉瓦倉庫。できすぎた風景のようにも思える。

  新千歳空港から快速列車でやってきた小樽の街。私にとって実質、北海道の第一印象を決める場所でもある。さらさらの雪を踏みしめ、やってきたのがこの小樽運河。もちろん、元々は実際の水運のために使われたのだろうが、この倉庫の表側、つまり運河の反対側に回ると、多くは物産店などとして使われている。言うなれば、ここは部外者に「小樽らしい」光景を見せるために残してあるスポットといえる。

  しかし、限られた滞在時間で、小樽の街の繁栄と、自然の厳しさを知るには十分なシーンだ。倉庫の屋根の軒下には、降ってくれば軽い怪我では済まなそうな巨大なつららが垂れ下がっている。

 

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