#020

  さすがは京都、というべきか。列車の中で開いたのは、先に購入した駅弁の「あなご寿し」。シンプルだが、乗っているあなごが立派で、‘照り’が食欲をそそる。

  列車の中で、弁当の包みを開く瞬間は、旅の醍醐味の一つだ。しかし、車内で駅弁をじっくり食することのできる機会は多くない。座れなければどうにもならないし、座れても通勤電車並のロングシートでは話にならない。周りが混んでいれば、落ち着いて食事などできない。弁当を買ったものの、開けることができずに時間が過ぎてゆくことはざらにある。良い条件が重ならなければ、この「至福の昼食」は味わえないのだ。

  幸い今回は、この弁当を十分堪能することができた。香ばしく、かつふっくらしたあなごの身は、あっという間に姿を消した。

 

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