#022

  京都・下関(厳密には1つ東側の幡生)間を北回りで結ぶ山陰本線。「本線」を名乗りながら、ながらく旧態依然だった。大半の区間が電化されず、機関車に牽かれた旧型客車が長い時間をかけて走り抜いていた。21世紀を迎え、なおも客車で運転される列車はごくわずかになったが、ブルートレインは細々と生き残っていた。東京と出雲市を結ぶ寝台特急「出雲」は1往復が残り、山陰本線内ではディーゼル機関車が牽引していた。

  一方、2001年に島根県内の山陰本線の高速化工事が完了し、この7月に新型特急車両が導入された。電化こそされていないが、大幅に時間が短縮された。左に写る特急「スーパーくにびき」がそれだ。確かに高性能ではあるが、安っぽい面構えをした2両編成に、威厳めいたものは感じられない。そんな新世代特急と、「旧態依然」の象徴ともいえる「出雲」との対面。山陰本線の変容と世代交代を印象づけられた。

  「出雲」は2006年に廃止され、これをもって、山陰のありふれた存在であった「機関車が牽引する列車」は完全に姿を消した。

 

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