#024

  俳人・松尾芭蕉をはじめ、日本三景のひとつに数えられる松島に魅せられた人は数多い。そんな松島湾の光景を、列車にいながらに堪能できるのが、海岸線のごく近いところを走る仙石線だ。しかし惜しむらくは、ここを走るのは通勤タイプの電車で、窓に背中を向ける座席になっていることだ。仙台近郊からの延長なので仕方ないのだが、これでは座るとかえってもったいない。そういうわけで、ドア際に立って車窓を眺める。

  松島湾に浮かぶ島々には、それぞれ独特の味がある。そしてそれらがまとまって、「松島」という独特の風情を作り上げている気がする。逆光にシルエットをなすその姿が、絵巻のように車窓を流れてゆく。

 

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