#027

  中央本線の塩尻より東側は、「中央東線」と呼ばれる。甲府盆地から信州へ向けて、高原へと駆け上がる登り勾配が続く。富士山に背を向け、右手前方に八ヶ岳が近づき、左側には甲斐駒ヶ岳を中心とした南アルプスの山々が連なる。天候さえよければ、山々のオールスターともいえる、そうそうたる顔ぶれの中を進むこのハイライトシーンに、感激を覚えずにはいられない。

  うっすらと雪の積もった朝の沿線。列車は高度を上げ、山々の眺望がひらけてゆく。澄んだ青空のもと、屏風のように続く南アルプスの峰にはガスがかかるも、それによりかえって稜線が浮かび上がる。素晴らしいタイミングだ。

 

トップ > 活動写真 > 十年の旅百景 > #027