#033

  鉄道での旅をしていると、この手の光景には、いやと言うほど出くわす。地形に沿って遠慮がちに進む線路の頭上を、高速道路の高架橋がひとまたぎにしてゆく。突き立つ橋脚が勝ち誇ったようにこちらを見下ろしているように見えるのは、列車好きゆえの僻みからだろうか。

  今乗っているのは可部線。可部から太田川に沿って山間へと入ってゆく。民家の裏をかすめ、川が迫れば山際へ押しやられる。対して高速道路は、山も谷もお構いなしに突き抜けてゆく。

 

トップ > 活動写真 > 十年の旅百景 > #033