#059

  行き止まり線の終点には、独特の風情がある。山奥のいわゆる「どんづまり」であったり、海に突き当たったりという物理的な終端である場合と、街の中心部が終点になる場合とがあるが、ここ城端(じょうはな)には、その両方の雰囲気がある。

  北陸本線の高岡から城端線を南下し、砺波平野が前方の山脈にふさがれようかというその手前で、この路線は唐突に終わりを迎える。駅前を通る国道304号は、この先さらに続いて、山越えに挑んでゆくが、険しそうな道のりだ。

  豪雪に悩まされた冬も、3月を迎え、沿道に積雪は残っていない。だが、真っ白な雪を残す山々に、春の訪れはまだ遠そうだ。

 

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