#083

  この時期、日本にはこんなに桜が植わっていたのかと思えるほどに、そこかしこに咲き誇る桜の花。風景の中にまだあまり色が伴わない時期に、突如現れるから、なおさら目に留まる。しかし意外と、海と桜という組み合わせには、あまりお目にかかれない気がする。

  新鹿(あたしか)駅に着く直前に遭遇したこの光景。色合いも、構図も絶妙だ。リアス式の入り組んだ海岸線。快晴の空を映すかのように、真っ青に輝く入り江。そして、一本でも堂々たる存在感を醸す桜の木。だれかが意図して植えたのかどうかは分からないが、通りすがりにこんな一瞬に出会えるのも、鉄道の旅のおもしろみだ。

 

トップ > 活動写真 > 十年の旅百景 > #083