#084

  今は春の終わりと言おうか、それとも夏の入り口と呼ぶほうがよいのか。五月晴れの空の下、咲き誇る鮮やかなつつじの花。

  津山の城跡、鶴山公園に来るのはこれで三度目となる。これといって特徴的なものがあるわけではないのだが、この津山という街には、なぜか足を運ぶ機会が多い。天守は廃藩置県の折に破却されたというが、立派な石垣が幾重にも巡らされた様に往時が偲ばれる。

  白壁の建造物は、「備中櫓」と呼ばれるもので、以前に訪れたときにはなかったものだ。石垣だけ残った姿も、栄枯盛衰の象徴という感じでそれなりに趣があったが、ひとつこうしたものが建ったことで、風景としては締まったという印象だ。

 

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