#086

  瀬戸大橋を渡って四国に入ったのが朝。そして今、日は西の空に傾いている。その光を映すのは、最後の清流と称される四万十川。

  今乗っている予土線、高知県側の西半分はおよそ四万十川に沿っている。渓谷の道のりだが、列車の中から見る限り、風景そのものに特別な印象はない。しかし、本州側から見て「果て」に近いこの地までたどり着いたという感慨が、沈みゆく夕日とともに、到達感とともに、一抹の物寂しさを感じさせる。

 

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