#092

  山の頂に、堂々たる石垣だけを残す城跡。明け方に降った雪が一面を覆う。東の空、霧の晴れだした山の上に輝く朝日。

  旅の道すがら、たまたま立ち寄った但馬竹田城。雪が積もったからこその光景だが、積もりすぎてはここまで登って来ることができなかった。この日、この場所、このタイミング。図ってもそうそう出会えるものではなく、二度と巡り会うこともないだろう。風景のすばらしさもさることながら、この一期一会の局面に居合わせたことに、まるで奇跡を見たような驚嘆を覚えずにはおれなかった。

 

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