私は基本的に、ビル群のそびえ立つ都会の風景には、いまひとつ興味を覚えない。そこに自然があるとしても、それはいわばコントロールされた、都市の一部に過ぎないからだ。しかし、中洲を中核とする都市、という大阪独特の立地は面白い。青空の下、満々と水をたたえる川に浮かぶ中之島。ビルの上にはクレーンの姿。現在進行形で街は造られ、そこに人がいる限り、「完成」することはないのだろう。

　　約半年前、この中之島に京阪の新線が開通した。左側の岸沿いにその中之島駅の入り口が見えるが、そこを出入りする人影は意外なほどに少ない。実際、利用者は予想を大幅に下回っていると聞く。人が多く通るところにはおのずと道ができるが、立派な道を造っても多くの人が通るようになるとは限らないのだ。