#096

  日本の鉄道は、地理的制約から、川に沿って引かれている場合が多い。ゆえに1本の路線が、1本の川と長い付き合いになる。下流側から遡ると、しだいに川幅が狭まり、流れが急になってゆく。その変化に、遠く深くへ来たものだという実感を覚える。

  木曽川に沿って進む中央西線。これまでにも何度か通っているが、夏場の来訪は初めてだ。この川特有の、白っぽい岩石が、真昼の日差しに映える。勢いよく流れ下る水が、深緑の山々を切り分けるかのようだ。

 

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