#098

  朝の静けさに包まれた湖。穏やかな水面は、鏡のように対岸の山々を映している。

  大糸線は、白馬より南では、ほぼ北アルプスに沿っている。西側の車窓には、さながら一連の絵巻のように、2000m超級の山々が次々に姿を現すが、いっときその絵巻は遮られる。代わって目の前に広がるのが、「仁科三湖」とよばれる谷間の湖だ。その最下流に位置するのが、この木崎湖。

  この先、谷は広がり、遮る山がなくなって、再び北アルプスが望まれる。晴れ空のもとに広がる眺望は、そのまま今日の旅路の広がりを予期させる。

 

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