#099

  この夏は梅雨明けが遅く、ほぼ同時に立秋を迎えてしまった。このため、厳密な意味での夏空には、ついにほとんどお目にかかれなかった。それを思えば、この旅行中はかなり天候には恵まれたほうだ。だがやはり、アルプスの3000m級ともなると、そうそうたやすくは顔を見せてくれないものらしい。

  この方向には、木曽駒ヶ岳の連峰が望めるはずだが、その肝心な部分が隠れている。空の大半が晴れていても、一部の雲がそこに固まっているというもどかしさ。そんななか、雲の切れ目から少しだけ姿を見せた山頂部。山の側からの、せめてものサービスだったのかもしれない。

 

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