勾配・寒冷地対策を施した直流近郊車両
甲信越・中国地方の地方幹線で広く活躍。塗色バリエーション豊富
登場:1963年
在籍:

  記載内容は2020年3月現在。
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 まだまだ地方の主力

  この115系という電車、外見上は113系とほとんど同じですが、勾配・寒冷地対策が強化されています。大まかにいえば、都市部用113、地方用115という構図となります。長編成で走ることの多かった113に対し、115系は編成が短めでワンマン対応化されているものもあります。(もっとも最近では113系の地方転出が目立ち、区別があいまいになってきました。)マイナーチェンジされながら、長い期間にわたって造られてきたため活動範囲が広く、地方幹線を中心にまだまだ主力として活躍しています。

  地方それぞれに様々な塗装のバリエーションがありました。本来の塗色である緑とオレンジの「湘南色」は、いわゆるリバイバルカラーを除いて姿を消しています。(113系とは前面の塗り分けが異なり、下部の緑色の部分が113系ではV字になっているのに対し、115系では貫通扉部分まで四角く張りだしています。)

岡山エリアでよく見られた湘南色編成 

  JR東日本エリア内では、長らく中央東線、信越線、上越線などの直流電化幹線で活躍し、かなりの長距離を走り抜く列車もありました。しかし211系の転属やE127系・E129系の導入による置き換えが進み、115系は新潟地区に残るのみとなっています。

  以前は東北本線(宇都宮線)や高崎線で長大編成を組んで走っていましたが、現在ではE231系車両に置き換えられています。

かつての新潟カラー 

現在の新潟カラー。緑バージョンもあり 

  私のお気に入りだったのは、白地に淡いブルーのラインをまとった「長野色」。長野県内を中心に中央東線などで運用されており、かつてはJR東海管内の中央西線・飯田線にも乗り入れていました。なお、1997年に信越本線(軽井沢〜篠ノ井間)がしなの鉄道に移管されたときに譲渡された115系が今も同鉄道で活躍しており、2015年の北陸新幹線開通の際にしなの鉄道が長野〜妙高高原間を引き受けたことに伴って、さらに115系が譲渡されています。

爽やかな長野カラーの快速「みすず」 

  中央東線では長らく横須賀色(スカ色)の115系も活躍していました。甲信エリアの115系は211系への置き換えが進められ、スカ色の車両は残存しなくなりました。

スカ色115系 

  JR東海の車両はグリーンとオレンジの本来の湘南色のままで、内外ともほとんど原型をとどめた状態で御殿場線・身延線・飯田線などで運用されました。313系増備により置き換えられ、2007年春をもって引退。

身延線にて、3両編成を組む 

  JR西日本でも勢力を減じつつあるものの、今も広く活躍中。そのバリエーションは実に豊富で、ワンマン化や短編成化改造されたもののほか、思い切ったリニューアルで、内装や座席を新型車両(221,223系)に準ずるレベルにまで引き上げられたものもあります。

  岡山エリアの車両は行き先表示器がLED式に替えられており、また短編成化のために中間車の妻面を使用した平顔の先頭車も。かつての419系などを彷彿させる奇妙な面構えです。

岡山エリアの更新車 

伯備線などで使用される2両編成 

  広島エリアは長らく国鉄世代車の独壇場で、115系はその主力を担ってきました。広く見られたのはベージュに青帯をまとった「瀬戸内色」。

瀬戸内色の編成 

  広島エリアのリニューアル車は地色が白く、関西のそれと比べてコントラストが強い配色でした。1982年に広島地区の輸送改善のために導入された3000番台は2ドアで、117系に似た設備を備えます。

広島リニューアル編成 

更新車の内装 

2ドアの3000番台 

  115系をはじめとした山陽地区の国鉄世代電車は濃黄色単色への変更が順次進められ、これらの車両も黄色一色に塗りつぶされてしまいました。

黄色単色塗装の115系 

  なお2012年より、プロ野球シーズンには広島東洋カープの応援ラッピングが施された115系がお目見えしていました。カープのシンボルカラー赤を基調に、デザインは毎年更新され、ひときわ目立つ列車でしたが、2019年から227系に変更されています。

2014年のカープラッピング車 

  2015年3月改正で、広島地区に新型車両227系の導入が始まりました。このエリアにまっさらの電車が入るのは115系3000番台以来、実に三十数年ぶりのことでした。その後置き換えが進み、115系は広島地区から撤退。現在JR西日本館内で115系が運用されるのは福知山エリア、岡山〜米子エリア、山陽本線の岩国以西となっています。

 当たり外れも

  私にとって、この電車がなじみ深くなったのは、青春18きっぷで‘遠征’しだしてからのことです。初めて青春18きっぷを利用した1991年の中国・九州地方への旅行の際、山陽本線・呉線で延々と乗車したのが115系でした。その後、関東・東海・甲信越への旅行が多くなるにつれ、そちらの方面でもよく出会うようになりました。

  幹線を走る運用も多い電車なので、鈍行乗り継ぎ旅だとどうしても長い付き合いになります。しかし乗り心地や走行性能はさすがに新型と比べると格段に劣り、乗る時間が長いほど疲れ方に響いてきます。

  同じ115系でも、車両によってかなりの当たり外れがあり、「当たり」のときはさほど苦になりませんが、「外れ」だとメモの字も書けないほどガクガクよく揺れ、「ぶーん」というモーターの音が耳について、落ち着かないことが多々あります。

  ベテランの域に達した電車ではありますが、その守備範囲の広さと汎用性から、まだしばらくは活躍が続きそうです。

 

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