「省エネ」を合い言葉に末期の国鉄が投入した通勤電車
西日本では依然貴重な戦力
登場:1979年
在籍:

  記載内容は2015年8月現在。
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 通勤電車の転換点

  国鉄時代の通勤形車両としては、103系が約3,500両にわたる一大勢力を築きましたが、それに代わる新世代の通勤電車として登場したのが、201系でした。

  オイルショック後の「省エネ」という時代の要請を受け、「サイリスタチョッパ制御」と呼ばれる方式により、電力回生(エンジンブレーキの要領でモーターを発電機として回し、生じた電力を架線に返す)を可能とするなど、システム的に様々な新機軸が採用されました。

  また外見上も103系から一新され、特徴的だったのは前面の黒いパネル。これで「表情」に締まりがでました。窓回りの黒いデザインは現在に至るまで広く採用されており、201系はその草分け的な存在といえます。

  関東では中央線系統を中心に投入され、のちに京葉線などにも転属。関西ではながらく、東海道・山陽線(京都・神戸線)の各駅停車として運用されました。ただし製造コストが高くついたため、国鉄末期の逼迫した財政では大幅な増備はままならず、製造されたのは1,000両程度。以後はステンレス車体の205系に移行し、201系の投入は比較的限られた範囲にとどまりました。

  このようにいささか不遇をかこった面はありましたが、民営化以後の通勤車の方向性を示すうえで、転換点となった電車であったことは確かです。

  関西での活躍が始まったのは1983年のこと。私自身はそのころに国鉄沿線を離れたので、直接的な思い出がないうえに、子供の観点では上記のような内面的な刷新に理解がなかったこともあり、「103系とあまり違わないな」という印象で、当時においては大した興味の対象になりえませんでした。

117系新快速と並ぶ 

 東西の明暗

  関東ではオレンジ色の「中央線の電車」という印象の強かった201系ですが、関西では常に新快速や快速の脇を走る「青い各駅停車」のイメージでした。のちには205系や、JR西日本が開発・投入した207系と併用されました。

  JR東西線が開通した1997年以降は、福知山線(JR宝塚線)にも直通するようになりました。(JR東西線には入線実績なし。)一時期JR宝塚線には、アーバンネットワークの通勤・近郊車両のうち、223系を除く全車種が走っていました。

JR宝塚線と京都線を直通 

  2003年以降西日本の201系には、103系などに行われたのと同様の延命と環境改善を目指した大幅なリニューアルが施されています。103系と比べれば変化のインパクトは乏しいものの、窓回りや屋根回りがすっきりし、車内も若干リフレッシュしました。

更新を受けた編成 

  2005年以降、京都・神戸・宝塚線系統の201・205系を置き換えるため、207系のモデルチェンジ版である321系が投入されました。(この置き換えの目的の一つは、京阪神の各駅停車を207・321系で固めてスピードアップを図ることでしたが、2005年4月に起きた宝塚線脱線事故のため立ち消えとなっています。)これにより201系は長年の安住の地を去り、大阪環状線・桜島線(ゆめ咲線)・関西本線(大和路線)などに転じました。これらの路線はそれまで103系の独壇場でしたが、全車の置き換えには至らなかったため、現在103系と201系が併用されている状態です。

  この転属に伴い、関西では従来見られなかったオレンジ色の201系、そしてこれまでありそうでなかったウグイス色の201系が登場しました。京阪神からは2007年に撤退し、現在では関西にスカイブルーの201系は存在しません。ちなみに東日本では埼京線転属によって、当初なかったスカイブルーの201系が登場しており、奇しくも関東と関西で色の交換がなされたような格好です。

オレンジ色となった大阪環状線の201系 

ウグイス色の大和路線車 

  関東における活躍の中心だった中央線系統においては、走行距離が長かったせいもあって老朽化が進み、E233系に置き換えられて2010年秋までに全廃。京葉線の分も2011年に全廃されました。下の写真は2010年初頭、残りわずかになった201系の「中央特快」にたまたま巡り合えたもの。

終焉間近な中央東線の201系 

  一方関西では、2008年に開通したおおさか東線にウグイス色の103,201系が投入されるなど、まだまだ国鉄世代の活躍が続いています。ただし大阪環状線・ゆめ咲線には2016年以降、103系・201系を置き換える新型「323系」の投入が予定されており、世代交代の波は迫っています。

おおさか東線(放出〜久宝寺間)の103系と201系 

 

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