九州新幹線用に投入、「さくら」「つばめ」用
白い車体に、和をコンセプトとした車内
登場:2004年
在籍:

  記載内容は2015年10月現在。
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 JR九州の自信作

  九州新幹線(鹿児島ルート)は、山陽新幹線と接する博多側からではなく、末端にあたる新八代〜鹿児島中央間が先に開業しました。2004年3月の開通にあわせてデビューしたのがこの800系です。

800系「つばめ」 

  命名された「つばめ」は、それまで鹿児島本線の特急に付されていた愛称ですが、この路線の特急はかねてからJR九州にとってフラッグシップ的存在であり、「ハイパーサルーン」の783系、そして「つばめ」用787系と、最新鋭の車両が投入されてきました。そしてついに、九州待望のオリジナル新幹線として800系「つばめ」がお目見えしたのでした。

  新幹線全通までの暫定措置として、博多〜新八代間の在来線特急「リレーつばめ」と新幹線「つばめ」が新八代で対面接続し、1本の列車のように扱われました。乗り換えがあるにもかかわらず、駅や車内の案内では「新八代行き」ではなく「鹿児島中央行き(下り)/博多行き(上り)」と案内されていました。(ただし、JR西日本の受け持つ山陽新幹線の乗り換え案内では「新八代行き」とアナウンスされていました。)なお、この時点で新幹線は新八代〜鹿児島中央間ノンストップのもの、川内のみ停まるもの、各駅停車のものがありましたが、愛称はすべて「つばめ」でした。

  787系「つばめ」は黒基調の車体でしたが、800系は一転して白基調となり、JR九州の社色である赤いラインが引かれています。(先頭部にツバメのイラストが描かれ、このラインがツバメの軌跡のようになっています。)6両編成でグリーン車はなく、機構的には700系のものを流用していますが、最高速度は九州新幹線内の速度制限に合わせて260km/hとなっています。

800系の編成 

  鹿児島にゆかりのある私にとって、この新幹線の開通は大きな出来事であり、それまで在来線だと山がちで単線ばかりの八代以南で時間がかかっていたのが(JRになってからだいぶ短縮されていましたが)その区間が大幅に短縮されて随分鹿児島が近くなったものだと感心しました。もっとも、関西からだと博多と新八代で2回の乗り換えを強いられるのはやはり不便で、しかも新幹線に乗ったと思えばすぐに着いてしまうので、せっかくJR九州が意匠を凝らしたこの800系の持ち味を、落ち着いて楽しむことはできませんでした。

 「和の新幹線」の味わい

  2011年3月、博多〜新八代間の開通によりついに山陽側と一続きになり、九州新幹線はその本領を発揮することになりました。山陽〜九州直通の最速達列車は「みずほ」、直通および九州新幹線内の速達列車は「さくら」、そして九州新幹線内の各駅停車が「つばめ」となりました。山陽新幹線直通列車はすべてN700系7000・8000番台での運転で、800系は九州新幹線内の「さくら」「つばめ」のみに使用されています。(新山口までは試運転で乗り入れており、博多以東への乗り入れも一応可能なようですが、今のところ山陽新幹線で営業運転されたことはありません。)なお、全通前は側面に大きく「つばめ」と書かれていましたが、「さくら」にも使用されるようになったことから現在ではロゴが変更されています。

  全通に先駆けて800系がさらに3編成増備されており(新800系)、これらの車両は前照灯のカバーが膨らんだり、赤いラインが運転席横でカーブしたりと外見上若干変化したほか、内装も改良されています。

新800系の先頭部 

  2011年夏に出水から博多まで新800系の「さくら」に乗る機会があり、ようやく800系を堪能する機会を得ました(それでも1時間余で着いてしまいます)。車内は徹底的に「和」を演出しており、内壁や座席背面は木、座席は西陣織のあでやかな配色。席は4列配置で、ゆったりと過ごすことができます。

客室内の様子 

  下の写真の通り、窓のブラインドも桜材のすだれ風のものです。

窓のブラインド 

  このほか窓下にある小テーブルや荷棚も木製となっています(これは新800系から採用)。

  乗り入れ対応のN700系も「和」をイメージしていますが、九州オリジナルの800系は更に思い切って雰囲気作りに徹しており、このあたりは独創的な車両を数多く世に送り出してきた九州イズムの真骨頂といえそうです。九州で完結する運用の性格上、あまり長く乗ることができないのがもったいなく感じられる車両です。

 

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