車両紹介 3000系列

 

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  記事中の「F」は「編成(Formation)」を指し、当サイトではその編成の西代側先頭車の番号で表記しています。

  編成一覧はこちらをご覧ください。

 概要

  1964年から1985年までの間、山陽電鉄の標準形として増備が続けられた3000系列。最初はアルミ車として登場しましたが鋼製に転換、のちに再びアルミ製となりました。3両または4両編成を組み、本線・網干線の普通列車として使用されるほか、4両編成はラッシュ時の「S特急」にもなります。また神戸高速線を介して、阪神神戸三宮(回送として大石)、阪急神戸三宮まで乗り入れます。

  製造期間が20年以上に及ぶことから、数多くのマイナーチェンジが施されています。旧2000系などから改造された中間車もありましたが、既に引退しています。座席は当初全車ロングシートでしたが、一部車両はセミクロス化されています。現存車両はすべて冷房を装備しています。

 3000系

  3000系は現状、基本的に3両編成を組み、西代方から3000形2両(制御電動車+中間電動車)+3600形1両(付随制御車)の編成(JR風に言えばクモハ+モハ+クハ)。4両編成化のために3両目に付随車(いわゆるサハ)として3500形または2000系から改造された3550/3560形が組み込まれましたが、改造車はすでに全廃されており、4両編成を組む3000系は今ではごく一部です。

 アルミ製車(3000F,3002F)

  1964-65年に製造。最初にデビューしたのは2000系アルミ車2012Fを基本に製造された3両編成2本。1968年4月に神戸高速鉄道が開業するまで、兵庫〜西代間の併用軌道を走った経歴の持ち主です。無塗装のアルミ車体の側窓下と裾部に赤いラインが引かれていますが、これは2012Fから引き継いだデザインです。後の3050系アルミ車には裾部の赤ラインがありません。

  1965年には「鉄道友の会」から「ローレル賞」を受賞。

昭和30年代製、最古参の3000系初期車 

  神戸高速開業に伴い、この編成に中間車3500および3501が追加され4両編成になりました。この中間車2両は数度の組み替えを経て、現在では3050系アルミ編成に組み込まれています。(裾部のラインは他車に合わせるために消されています。)

3050系3078Fに組み込まれた3501車 

年季を感じさせる初期アルミ車の車内 

  3000系第一号の3000Fは、2015年秋から前面の赤帯が細い昔のデザインに復刻されました。

80年代ごろまでのデザインに復刻 

  登場から半世紀にわたって走り続けた初期アルミ車でしたが、2016年に新型6000系(3両編成2本)が導入されたことに伴い、2017年に3002Fが廃車となりました。中間車3003が2506に代わり物置として東二見車庫に設置されています。

  昭和30年代製最後の生き残りとなった3000Fも2017年11月23日をもって引退し、3000系初期アルミ車編成は姿を消しました。2018年4月時点で、この編成のうち3000車のみが東二見車庫に留置されています。

引退直前、記念ヘッドマークを掲げて走る 

東二見車庫の片隅に1両だけ残されたトップナンバー車 

 鋼製車(3004F-3032F)

  神戸高速乗り入れに備えて大量増備されたグループは、コストの問題から鋼製となりました。当初はクリーム色と紺色のツートンカラーでした。冷房化、塗装変更、一部車両のワンマン対応化やリニューアル(後述)を経て今に至ります。

ワンマン対応化・リニューアルの施された3006F 

  なお、3619車は鋼製ながら、後述の3100形アルミ車と組むため、それに合わせたグレー塗装になっているのが特徴でした。

  リニューアルで延命が図られる一方で、6000系の増備に伴って置き換えられてゆく計画になっており、更新されていない鋼製車両から廃車が続いています。下の3004Fは、鋼製車としては唯一最後まで前面表示器が出っ張った形状のままでしたが、2017年5月をもって引退となりました。

最後まで箱形前面表示器だった3004F 

  2019年7月に、4両編成の3030Fが旧塗装に復元されました。1990年頃まで親しまれた、黄色と紺色のツートンカラーで2021年5月まで運行され、6月の記念運転をもって引退しました。

「海へ」ヘッドマークも昔風の旧塗装3000系 

 3550/3560形

  3550形は2000系を、3560形は2300系を中間付随車化した車両。3560形の経歴は複雑で、旧性能車700系の車体を2000系タイプに更新した2700系を、3000系と同等の機器に再改造したのが2300系で、そこからさらに付随車化されて3000系列に編入されるという変遷をたどっています。

  3000系に組み込まれて4両編成を構成しました。片開き扉で窓配置も3000系とは異なり、運転室が残っている車両もあって、編成の中で異彩を放つ存在でしたが、老朽化に伴い2003年までにすべて運用離脱。これにより現在、3000系の大半は3両編成となっています。

先頭側から3両目が3560形 

編成を外され廃車を待つ(2004年) 

 3200系

  2000系の動力装置を流用して製造、もしくは3000系から改造された車両。車体は3000系と同じタイプですが、出力の制約上当初から今に至るまで3両編成(3200形2両+3600形)を組んでいます。すべてワンマン対応化され、網干線を中心に運用されました。

網干線ワンマン運用に就く 

3200系車内 

  6000系の導入に伴い、2017年5月に3200Fが運用を退いたのを機に順次引退。2019年に3206F,3208Fが離脱して運用を終了しました。

  なお、3210Fの3210+3211はもともと3000系3010+3011に2000系の主電動機などの装置を搭載したもので、3200系で唯一リニューアルを受けた編成でしたが、2017年に主電動機を交換して3010+3011に戻され、3000系に復帰しています。

 3050系

  1972年より4両編成で製造。(ただし鋼製の3060F,3062F,3064Fおよびアルミ製の3076F,3078Fは、新造3両に3000系3500形を挟んでの4連。)

  この3050系から、製造当初より冷房設備を備えています。第4編成3056F(1973年)からヘッドライトの形状が変わり、間隔の狭いタイプになりました。1981年製の3638号が、系列最後の鋼製車両となりました。のちの5000系もすべてアルミ車なので、この3638が現状、山陽電鉄最後の鋼製車ということになります。

3050系の初期車、旧塗装時代 

  3000系最初の2編成以降、コストの問題からしばらく製造の途絶えていたアルミ車両でしたが、1981年に再び登場しました。ただし、先行試作車を含む3066+3067+3538の3両は、鋼製の3638に合わせて、アルミ車体でありながら鋼製車と同じ塗装を施されています。下の写真で見ると分かるとおり、アルミ車のほうが屋根・裾まわりのRが若干小さいようです。また、アルミ車は側窓枠が少し出っ張っているのが、外見上のよく分かる違いです。

先頭側3両はアルミ製だが塗装されている 

  その後は無塗装のアルミ車体に。(これ以降現在に至るまで、山陽電鉄の新造車両はすべて無塗装アルミ車体となっています。)工法の改良を反映して、車体の質感が3000系と比べて滑らかになっています。また側面の赤ラインは側窓下の1本だけになりました。前面貫通扉はステンレス製となりましたが、1985年に製造された最終編成3078F(3連2本)の貫通扉はアルミ製です。

貫通扉がステンレスのアルミ車 

  なお最後の3連2編成(3076F,3078F)および3074Fのうち3両には、当初固定クロス座席だった5000系初期車を転換クロス席化した際に発生した座席を転用して、クロスシート化が施されました。この3編成は一時期、2編成併結で5000系6両編成の予備にできるよう設定されていました。

  現在では3076F,3078Fは3000系初期アルミ車を挟んで4両編成となっています。3000系列アルミ車の初期形と最終形の混成であり、側面を見るとその新旧差が見て取れます。

3000系を組み込んだ3050系最終編成 

 幻の増結車 3100形

  3100-3101の2両は、当時4両が最長だった列車を将来的に6両にまで増結することを想定して、1984年に製造されました。3101側には簡易運転台(準備工事)が装備されていました。

  ただし当面増解結の予定がなかったため、3000系3619と組んで3両編成となりました。3619は鋼製でしたが、アルミ製の3100-3101に合わせて明灰色に塗装されました。

  しかし6連運用には5000系、予備として前述の3050系3連×2が充てられ、3100形は当初の目的で使われることなく1編成で打ち切られました。結局その後も3619と組んだまま、3両編成での使用が続きました。

★3100形 3100側 

アルミ車に色を合わせた3619(左端) 

  2022年5月に、鋼製車3619が引退。異色の「アルミ+偽アルミ」編成は終焉を迎えました。アルミの3100-3101は存続しています。

 3000系列のリニューアル

  登場から40年以上経ち、老朽化の進む3000系列を引き続き運用に就かせるべく、2005年より鋼体強化を兼ねた大規模なリニューアル工事が行われています。(今のところ、アルミ車でリニューアルされたものはありません。)

  外観は大きな変更はありませんが、側窓枠が黒くなり、正面の突出していた初期車両の行先表示幕は扉と一体化、連結面には転落防止ホロが装着されました。車内の内装はベージュ系統から白をベースとしたものとして、より明るいイメージとし、車いすスペースを追加するなど、バリアフリーに対応しました。さらに、途中から標識灯のLED化もメニューに追加されています。台車や電動機など、足回りは従来どおりです。

  当初は神戸高速線開業前に製造された古い車両が対象でしたが、2008年には3050系3058F(1973年製)がリニューアルを受けました。

★リニューアル3000系 

車内の変化 

  2016年以降は新型6000系の増備が行われるようになり、3000系列のリニューアルは終了しました。6000系と入れ替えられるかたちで未更新の3000系列の廃車が進んでおり、2019年7月に旧塗装に戻された3030Fが未更新鋼製車として最後の定期検査となったことから、以後現存する未更新車両は検査を通すことなく廃車されることになります。

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