小浜線、加古川線電化に際して投入された単行運転可能な新型電車
JR西日本地方路線用車両のモデルとなるか
登場:2003年
在籍:

  記載内容は2020年3月現在。
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 新型ローカル電車の実力

  2003年3月の小浜線にあわせて導入された電車が、JR西日本の125系です。1両単行で動ける新性能電車としては119系及び荷物電車を改造した123形がありますが、JRの新造車となるとJR四国の7000系と、この125系くらいのものです。

  小浜線に新型電車、と聞いたとき、正直なところ私はたいした期待はしていませんでした。それまでのJR西日本の姿勢を見ていると、地方路線に極力投資したくないとの考えからか、旧式車に格好悪い短編成化改造を施して走らせるのが関の山。新造といっても、コストを切りつめた素っ気ない車両を出してくるんだろう、と高をくくっていました。

  2002年の末になって、兵庫の川重で125系が落成、全容が明らかになるにつれ、「なんだ意外と手をかけてるぞ」と思えてきました。両運転台の単行運転用電車ですが、転換クロスシートあり、車椅子対応トイレあり、そして223系の技術を流用した車両ということで、走行性能も高そう。

  小浜線電化開業から1週間、2003年3月21日に早速乗車しました。座席に座るとなかなか快適。モーターの存在さえあまり感じさせないほどの静かな走りです。線形のあまり良くない小浜線では、なかなか本領発揮とはいきませんでしたが、走りそのものは実に軽快でした。(車両としては120km/hまで出せますが、小浜線や加古川線では設備の制約上、最高速度85km/hに抑えられています。)

小浜線の単行125系 

  セールスポイントの一つ(?)である、身障者対応トイレにも入ってみました。ドアはなんと押しボタンによる自動開閉。中は広く、従来の列車のような密室の圧迫感がありません。同じくローカル向けの車両であるキハ120にはトイレの設置さえしなかった(のちに設置)JR西日本にしては革新的とさえ思えました。

バリアフリー対応、広々としたトイレ 

  運転席部は、当初からワンマン運転を前提としたオープンな構造で、前面はほぼ全体が見渡され、展望は非常に良い。

  面白いのは、外見上一見3扉に見えるのに実は2扉という構造。223系のパーツを流用しているためか、中央部のドア部(に見える部分)はダミーで、1枚ものの固定窓が設置されています。この部分では、座席間に不自然なすきまがあいています。

  ただし、この電車導入は地元の利用者にとっては功罪相半ばだったようです。この電車は座席が2列+1列の構造で、通路の広さが特徴のひとつですが、それはとりもなおさず着席率を下げることになります。加えて、広いトイレや固定窓部のすきまが、実質的な客室面積を減らしています。しかも、ディーゼル時代の小浜線は2両編成中心でしたが、125系導入により単行運転が増え、乗客の大半が通路に詰め込み、という状態が観察されました。京阪神の新快速が「座れば天国、立てば・・・」と言われたりしますが、この125系もまさにそんな電車です。(そのような苦情を受けてか、後に小浜線の125系の座席は2列+2列に交換されました。)

  2004年12月に電化された加古川線にも、125系が4両投入されました。9月に同線入りし、試運転開始。車体のラインは、加古川線のカラーであるグリーンです。

加古川線の125系 

  座席は、小浜線への導入当初と同様、2列+1列となっています。これは加古川近郊に利用が集中し、短距離利用者が多いためかもしれません。

加古川線車両の車内。左の出っ張りがWC部分 

  両運転台の特色を生かした単行での運転が多く、利用の少ない西脇市〜谷川間は基本的に125系だけで運用されています。ただしラッシュ時には3両編成もあります。

朝ラッシュ時の3両編成 

  2006年10月の、長浜・永原〜敦賀間の直流化にあわせて、再びこの125系が投入され、521系などどともに、琵琶湖北の419系475系を置き換える格好となりました。これまで125系はすべて地元自治体の支援によって導入されており、「地元がお金を出せば新車を入れる」というJR西日本の方針が表わされています。

  なお国鉄時代からの原則で、車両形式で10の位が「2」の電車は一般に「近郊形」に分類されますが、JR西日本はこの125系を「一般形」と定義しています。詳細は定かではありませんが、キハ40系などの「一般形気動車」の電車版に相当するものと位置づけているのかも知れません。(細かい点ですが、JR西日本は「一般」という表現を使用しているものの、弊サイトでは「形」で統一しているため、そう表記しています。)

 

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